-- poetry --
--- 水浅葱 みずあさぎ ---

(まど)から見える煌星(きらぼし)を いつも惘然(ぼんやり) 瞶(みつ)めている
瞳子
(ひとみ)を瞑(と)じて しずかに夜眠(ねむ)
朝旦
(あした)になればと 淡い期待をこめて


「ダイジョウブ キット カナラヅ」
貴所
(あなた)は譜(い)
そして「ココニ オイデ」と


本当に大丈夫なの?
信じていれば翹望
(ねがい)は叶うものなの?
貴所に逢うたび わたしは憂
(つら)くなる
真率
(まっすぐ)な純粋な瞳孔(ひとみ)で わたしの心情(こころ)を揺蕩(ゆさぶ)
わたしも其所
(そこ)へ行きたい 叶うものなら


(はじ)めて貴所と出逢ったとき
不偲儀と貴所の風景
(こころ)が 脳裡に浮かんだ
そして何故だか とても 懐愛
(なつか)しい氣持ちになる
わたしの何かが 覚醒
(めざ)めるように


透き通る水浅葱のなかを 悠揚
(ゆったり)と柳姿(しなやか)に舞う貴所
一途
(いっしょ)に舞えたら どんなにか この世を確かめられたのに
わたしは ただ――
貴所の唱
(うた)を聆(き)きながら 遐(とお)くから目守(みまも)るしかない


大地を緊乎
(しっかり)と 踏み締めるための歩(あし)
大きな輪に風采
(すがた)を変え
那邊
(そちら)の世界に とどくことのない宇宙を
憧憬
(あこがれ)ずにはいられない
この想念
(おもい)は 何地(どこ)へ徂(ゆ)くのだろう


貴所とわたしは
おなじ星宿
(ほし)に生まれ
おなじ時代
(とき)を過ごしているのに
おなじ世界を一度も味わえず
それぞれ 当てのない逆旅
(たび)にでるのだろうか
このまま・・・


現実を不快
(いや)というほど
(からだ)に感じている わたしなのに
まだ何地か 意識の奥深いところに 絶念
(あきら)めきれず
(もが)きくるしむ 幼少(ちいさ)な自分がいた
貴所は声でない声で 柔
(やさ)しくつつみ込んでくる
ゆっくりと瞳子を瞑じ 貴所の魂
(こころ)にふれながら
もと来きた路を 迷わず逆旅だつ 自分の像
(すがた)をみていた


交叉
(こうさ)することのない この出逢いを
或時
(いつか) のりこえることができるかは
そう―― 知っているのは 貴所だけ・・・


貴所は 待っている


水浅葱のなかで 永遠に・・・