一筋の龍から流れてくる輝かしいものを あたしは夢中で追いかけていた
そしてそれをそっと拾い上げ 春の光に透かしてみたら 遠い記憶
誰かの声がして 振り向いたあたしは光のさきにある人を 朧気にみつめた
その宝物をキミにあげるよ その人は微笑んであたしに駆け寄ってくる
どこか懐かしいその笑顔は 夢の終わりを告げるとともにカタチをなくした
よわさなど けっして見せない みせたくもない
あゆみが 痛みでくつうでも えがおをたやさぬよう
嵐なんて そういつまでも つづくものではなく
雨上がりにみえる にじのむこうへ ゆけるとしんじて
うまれてきたいみを このとき 初めてしりうるときがおとずれた
春の陽気に巣立ったばかりの ヒヨドリの子供たちが 誇らしげに飛びさってゆく
その翼に自分も乗って 遠くの空へ羽ばたく姿を想像(み)て 思わず笑みがこぼれた
人にはある時 ある瞬間の導きに途惑いを憶え そして行き違いとなってみつめ治す
ときにはナニかを犠牲にして 生きる術を見出しては おおきな壁と対峙する
例えその犠牲になっても 天空からおちても あたしはあのとき見つけた輝きを忘れない
いつか わかりあえる時が くるのだろうか
ときが ふたりの心を ひきさいたというのだろうか
ただ つよくふくかぜの音だけが せつなくみみにこだまする
なにが たいせつなものか 今のふたりにはきっとわからない
ふあんなかこに いきるより あたしは前をむいてあるいてゆきたい
一筋の龍が鳴いたまぼろしの音色が あたしを包み込んで 瞬時に離れた
大切だったあの人も きっと何所かで その音色を聴いているでしょう
春にとどいた懐かしい想い出と おおきく広げる羽音とともに
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